純朴な美しさと静けさの余韻を持った
ピアノ・トリオ
・・・・寺田俊彦(雨と休日)
ヴァージニア州アーリーズヴィルの牧場で静かに暮らす孤高のピアニスト、ボブ・メッティ。日本デビュー作にして幅広い音楽ファンを魅了したソロ・ピアノ集「ファースト・スノウ・フォール」に続く待望の第二弾は豊かな自然に囲まれた牧場のスタジオから届けられた穏やかでインティメイトなピアノ・トリオ・アルバム!
聴きやすく、親しみやすいボブ・メッティのピアノ演奏。ソロ・ピアノ集(厳密にはトリオ曲がボーナストラック的に1曲追加)として2021年初頭にCDリリースした『First Snowfall』に続くこのCDは、彼の本職ともいえるピアノ・トリオおよびデュオによる純ジャズ的な作品集。『First Snowfall』同様に新録ではなく、過去に録音された曲からミディアム~スロー・テンポのものだけを選んだコンピレーションアルバム的な要素を持つ。過去作の中には自身が吹くサックスやゲスト・ヴォーカルなどが追加されたいわゆるスムース・ジャズ的な曲も多いが、今回は敢えて外し全体の雰囲気を重視した選曲となっている。
『First Snowfall』の曲調はどちらかというとニューエイジ・ミュージックに寄ったような印象だったが、トリオ/デュオ編成となるとやはりジャズのスタイルだ。…とはいうものの、彼が作りだすメロディは一般的なジャズというには密度が低く、触り心地の良いイージーリスニング的な雰囲気を持っている。単純にBGM向きといってしまいたくなるのだが、それは語弊があるだろう。決して薄っぺらなものではない。むしろ繊細で絶妙な音選びにセンスの輝きを見ることができ、音的にも精神的にも過剰な飾りがなく、写実的な叙情性を持っているといえる。CMの仕事をしているということもあるだろうが、聴く者の想像力を高めてくれるような音楽だし、それゆえ素直に生活の中に溶け込んでいくのではないだろうか。そういった意味ではBGMとして使うことが正しいといえるし、なおかつ良質のBGMになり得るだろう。-ライナーより:寺田俊彦(雨と休日)
■パーソネル:
ボブ・メッティpiano
ボブ・ボーウェンbass,
クリス・ダマンbass (on track 9 & 13)
ジェームス・ハウdrums ・・・他
録音:2010-2020
■トラック・リスト:
1.ディス・ラヴ・アイヴ・ファウンド
2.ルック・マイ・ウェイ
3.マイ・シャルドネ
4.レイニー・ハート
5.モーメンツ・ライク・ディス
6.ボッサ・ボッサ7.フーリッシュ・ゲーム
8.フェルナンドズ・フレンズ
9.タイム・フォー・アズ
10.フォーエヴァー・アイル・ウェイト・フォー・ユー
11.コスモポリタンズ
12.アイム・ウィズ・ユー
13.マイ・クワイエット・プレイス