シカゴから届いたジャジーでクワイエットなソロ・ギター
チャーミングな歌声でヴォーカル・ファンの心を掴んだ知性派美人シンガー、ペトラ・ヴァン・ナウスのアルバムでその卓越したプレイが高く評価された技巧派ギタリスト、アンディー・ブラウン。彼が一本のギターに全てを注ぎ込んだ待望のソロ・アルバム。驚異的なテクニックを持ちながらもソフトでインティメイトなサウンドは一人で過ごす夜に静かに寄り添う・・・。
アンディー・ブラウン Andy Brown:
1975年ニューヨーク生まれ、学生時代からプロとして活躍し20年以上の経歴を持つ。、カル・コリンズ、ケニー・プール等に影響を受けたメインストリーム・ジャズのギタリスト。現在拠点としているシカゴへ来てから17年、それ以前は2年程ニューヨーク、その前、11年間は、シンシナティで活躍していた。当初は、ブルース系のギタリストだったが、ウエス・モンゴメリーを聴いてジャズに興味を持ちジャズ・ギターへと転向して行く。シカゴをベースにソロ・ギター、自分のトリオ、カルテット、ペトラ・ヴァン・ナウスをはじめ多くの歌手の伴奏、ハリー・アレン、ケン・ペプロウキー、ホド・オブラエン、ハワード・オールデン等との共演などで活躍、バーブラ・ストレイサンドの伴奏のカルテットの一員として演奏したこともある。リーダー・アルバムとしては「Trio and Solo」「Direct Call」「Soloist」などがある。1,500曲以上のレパートリーを持っている。彼がYoutubeにあげたシカゴの「ウイスキー・ラウンジ」でのソロ・ギター・コンサートの映像は、260万回以上の再生回数がありアメリカに次ぎ、かなりの部分が日本からだという。
「このアルバムはソロ・アルバムだけれど、ブラウンは、この形態にこだわりがあるようだ。普段のライブでもソロのステージがあるし、また、ナウスとのアルバムにも、ギター・ソロのトラックがあえて収録されている。そして、何よりもこの演奏を耳にすると、彼がソロでやりたいこと、ソロ演奏の楽しさのようなものが、しっかり伝わってくるのだ。たとえば、そのギターの音色。ギブソンのタル・ファーロウ・モデルを使っているとのことだが、ギターに素人の私でも、この繊細で温かな音は、ファーロウに似せたいというより、弦の選択などいろんな工夫を経て、自分の世界を作っていると分かる。さらに言えば、これらの演奏は、単にスタンダードの楽しさを共有するといったファン志向のアルバムではなく、むしろ、プロとして長い活動歴の間に修得した様々な技法から音楽観のようなものまでつめこまれたソロ・ギターのこだわりの集大成と言ってもいいように思う。むろん、これはBGMのように気楽に聴いてもいい。いやむしろ、そんな風に楽しむべき音楽だろう。けれど、ふと耳に飛び込む美しい音色や驚きのハーモニーやリズムの展開を辿っていくと、あらためてジャズ演奏の奥の深さに気づかされる。そして、だからこそ、この複雑だがどこまでも心地よいこの世界に繰り返し浸れるのだと思う。」青木和富(ライナーより)
■パーソネル:
アンディ・ブラウンguitar
録音:2020年/シカゴ
■トラック・リスト:
1.ルック・フォー・ザ・シルヴァー・ライニング
2.ビリンバウ
3.愛のテーマfromブレード・ランナー
4.ソフト・ウインズ
5.ザ・ジプシー
6.リトル・ホワイト・ライズ
7.イフ
8.ザ・ラヴァーン・ウォーク
9.ロリポップス・アンド・ローゼズ
10.ブルー・サンバ
11.ザ・ベスト・シング・フォー・ユー
12.ぼくが知ってるあのこと
13.果てしない愛
14.わが故郷のサンバ
15.ベレヴィル
■使用ギター:
Gibson Tal Farlow model1965