ライトでメロウなウエスト・コーストの陽射しをたっぷりと浴びた サイモン&ガーファンクル・カヴァー集
50年代のチェット・ベイカー、70年代のマイケル・フランクス、そして今リンカーン・ブライニー!ロングセラーを続ける名盤『パーティー』から4年ぶりとなる待望の新作は何と彼のフェイヴァリット・グループ、S&Gへのトリビュート・アルバム。多くの名曲を残したポール・サイモンの作品からリンカーンがチョイスしたとっておきのカヴァー集
「サイモン&ガーファンクルのカヴァー集とは、これ以上にないくらい素敵な企画だと思います。選曲も絶妙、アレンジも最高、耳馴染んだ名曲たちが見事にリンカーンの色に染められています。さすがカヴァーの達人。キャリア代表作となる名盤の誕生です」
・・・山本勇樹(Quiet Corner)
リンカーン・ブライニーの歌声を聞いた誰もが「ソフト&メロウ」という言葉を思い浮かべるに違いない。あるいは「肩の力が抜けている」という言い方も。確かに彼の歌はどこまでもクールで、かぎりなく優しい。だからといってそうしたヴォーカルをみんなに届けるには、本人がふにゃふにゃになってしまっていたり、力が抜けて、腰がくだけてしまっていたりしたらどうしようもない。わかりきっていることだが、堅い芯のようなもの、たくましい幹のようなものを持っていなければ、柔らかさは表現できないのだ。リンカーン・ブライニーの優しい歌に耳を傾けて、ぼくが強く感じるのは、彼が内に秘めている厳しさだ。その厳しさがあるからこそ、心地よさが生まれる。リンカーンは、「自分は間違った時代に生まれてきたんじゃないか。ノスタルジックでロマンティックで、たぶん過去からやって来たメッセンジャーかもしれない」とも語っている。しかしリンカーンの歌は、単にノスタルジックで後ろ向きなものではない。その懐かしさは前を向いていて、だからこそ彼の歌はとても新鮮でもあるのだ。
・・・中川五郎
過去に日本でリリースされた3枚のアルバムで、チェット・ベイカーを父に持ち、アントニオ・カルロス・ジョビンを母に持つ、というような歌を聴かせてきたリンカーンが、今回はポール・サイモンの楽曲に絞った歌唱を聴かせているというわけだ。もっとも、ポール・サイモンにしても、ジャズやブラジル音楽やアフリカ音楽を吸収しながらキャリアを重ねていった経緯がある。“本来の自分にないものへの憧れ"を映し出すという点で、ポールとリンカーンの音楽は親和性が高い。実際のところ、本作でのリンカーンは、今までの彼の作風を大切にしながらポールの楽曲に取り組んでいる。
・・・宮子和眞(ライナーより)
曲目:
1. ブックエンドのテーマ
2. フランク・ロイド・ライトに捧げる歌
3. 早く家に帰りたい
4. 4月になれば彼女は
5. パンキーのジレンマ
6.きみの愛のために
7.雨に負けぬ花
8.何かがうまく
9.ファーザー・トゥ・フライ
10. ソング・フォー・ジ・アスキング
11.クラウディ
12.オールド・フレンズ
メンバー
リンカーン・ブライニー
(vocal, chorus)
ポール・ラングフォード
(keyboard, fender Rhodes, program, chorus)
クレイグ・マクリアリー
(gutiar)
リッチ・トレリース
(percussion)
グレン・モリソン
(flugelhorn)
ヘーザー・ベイズ、
ジェニファー・ラングフォード、
ジョン・ムジク(chorus)
録音:2015年6月/シカゴ