声とピアノによる新たなるヴォーカル・マスターピース
ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン、ビル・エヴァンス&トニーベネット、そしてジェフ・ニーヴ&ホセ・ジェイムスらを彷彿とさせるクワイエットなメール・ヴォーカル名盤の誕生。
ドイツを代表する人気ピアニスト、ウォルター・ラングのイノセントなタッチとニコラ・コンテやステーヴ・キューンとの共演で知られる端正な歌声が魅力のフィリップ・ヴァイスによる研ぎ澄まされた二人だけの世界。ビル・エヴァンス、ヘンリー・マンシーニ、ガーシュウィン、チャップリンなどの名曲をピアノとヴォーカルのみで綴る21世紀の新たなるスタンダード集。
そう、これは生粋のロマンティストたちへ贈る音楽。
滋味深い歌声のジェントルな語り口と、なめらかで叙情的なピアノの音色が、やさしい月明かりに包まれながら静かに揺らめく。ほのかに漂う甘い香りとビタースウィートな味わい、そして誰かの募る想いを託したような切ないメロディーたち。フィリップ・ワイズとウォルター・ラングは、夜空にきらめく星屑をあつめるように13のピースをアルバムに並べた。
ジャズ・ヴォーカリストのフィリップ・ワイズは、スティーヴ・キューンやビリー・ドラムンドなど、名うてのプレイヤーを迎えた『You Must Believe In Spring』で2005年にデビューを果たし、その後もニコラ・コンテの作品に参加するなど、着々と活動の幅を広げている。ジャズ・ピアニストのウォルター・ラングは、クラシックをルーツに根ざしたリリカルな演奏が特徴的な、ヨーロピアン・ジャズを代表する一人で日本でも人気が高い。そして二人とも同じくドイツ出身である。この『PWL』は、そんな二人によるデュオ作品であるが、フィリップ・ワイズのムード溢れるヴォーカル・スタイルと、ウォルター・ラングの繊細なピアノ・タッチを聴けば、誰もがかつてトニー・ベネットとビル・エヴァンスが残した作品を思い浮かべるだろう。収録された「Waltz For Debby」「Young And Foolish」「The Days Of Wine And Roses」「A Child Is Born」「Some Other Time」は、いずれもトニー・ベネットとビル・エヴァンスによるデュオ作品に収められており、全編に流れる男の哀愁にも似た空気感や、ジャズ・スタンダードに対する真摯なメンタリティーもまたそれを物語っている。
フィリップ・ワイズは本作について次のように話している――「ウォルターと僕はとても自尊心の強い性格だから、音楽で対話することによってお互いに心を開くことができた。デュオで演奏することは、僕たちに自然に理解し合うための限りない自由を与えくれた」。同じ美学をもっていれば、多くを語らなくても分かりあえる瞬間がある。そう、これは生粋のロマンティストたちへ贈る音楽。耳を傾ければ、ゆっくりと二人の音楽が月明かりの夜空にとけていく。・・・・・山本勇樹(ライナーより)
曲目:
1.ワルツ・フォー・デビー
2.クローズ・イナッフ・フォー・ラヴ
3.ヤング・アンド・フーリッシュ
4.スルー・ジ・エッジズ
5.優しい伴侶を
6.スマイル
7.ブレイム・イット・オン・マイ・ユース
8.酒とバラの日々
9.ア・チャイルド・イズ・ボーン
10.今宵のあなた
11. サム・アザー・タイム
12. ビコーズ・オブ・ユー
13.スターゲート
メンバー:
フィリップ・ヴァイス (vo,)
ウォルター・ラング (piano)
ドイツ直輸入盤+日本語解説